特定非営利活動法人 あまのはら

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あまのはらニュース


第28号(2020年8月)


WEB版あまのはらニュース 目次

あまのはらニュース 巻頭 

あまのはらニュース28号特集(1)(2)(3)(4)(5)(6)




あまのはらニュース28号特集!


コロナ禍で地域活動支援センターはどうあるべきか

〜自主通所でコロナ第一波に対応したあまのはら〜

               文責 五十嵐正史


 (5)コロナ禍における社会資源としての役割

 閉所した施設の理由が、当然コロナ感染拡大防止であることは言うまでもないことでしょう。中には職員が自分の家族に感染するのを恐れて職員主導で閉所した所もあったと聞きます。繰り返しになりますが、感染を防ぐには人と会わずに閉じこもることがもっとも0リスクに近づく方法です。職員自身が家族を感染から守るために、自分が支援するべき施設利用者との接触を断つことも0リスクの追求を最高価値に置けば正しい行為となりますが、この発想自体が人間同士で構成する社会の在り方を無視した考え方とも言えます。なぜなら、社会の構成員でもある我々は、家族だけでなく様々な人、場所、自然等と直接的、間接的に結び合ってその繋がりを保って行くことで生存しているからです(誰もが単体では存在出来ない)。殊に、福祉を生業として生きている者は、自分が支援者として関わる人との関係性が仕事の上で一番大切な前提となります。それがどんなに困難でも、決して一方的ではない信頼に基づく関係(繋がり)を目指さなければなりません。施設をコロナ感染拡大防止のために閉所し、施設利用者にステイホームを促すのであれば、慎重かつ丁寧な説明でもって利用者にその趣旨を了解してもらう必要があります。一時的にせよ閉所して利用者と施設との直接的な繋がりを断つことは、たとえ“コロナ感染拡大防止”の大義名分を掲げても、それだけ重みがある我々の仕事(障害者支援)の根本と社会の在り方に関わることだからです。
コロナ禍で施設を閉所した際の理由付け(根拠)として「東京都における緊急事態措置」を挙げる団体がありました(プシケおおた)。大田区や東京都から直接当方にコロナ禍での施設対応について通達や連絡の類はほとんどない中(大田区からうがい手洗い等の感染予防と、検温等体調管理の徹底のお願いメールがあったのみ)、東京都の緊急事態措置の内容は都のHPから見つけることが出来ましたが、とても広く福祉関係団体(者)に通知しているとは思えません。では、そこにはいったいどのような福祉施設に対する閉所要請が書かれていたのでしょうか?
「新型コロナウイルス感染拡大防止のための東京都における緊急事態措置等」
2.対象施設一覧
施設の種別によっては休業を要請する施設
文教施設
…原則として施設の使用停止及び催物の開催の停止要請→学校(大学等を除く。)
社会福祉施設等
…必要な保育等を確保した上で、適切な感染防止対策の協力要請→保育所、学童クラブ等
…適切な感染防止対策の協力要請→通所介護その他これらに類する通所又は短期間の入所により利用される福祉サービス又は保健医療サービスを提供する施設(通所又は短期間の入所の用に供する部分に限る。)※実際の文章から必要個所を抜粋
 以上、障害者通所施設に該当するのは明らかに後段(太字部分)でありますが、適切な感染防止対策の協力要請とだけ書かれてあり、どこをどう読んでも「閉所」を要請する文面ではありません。では、協力を要請された適切な感染防止対策の中身はというと、
発熱者等の施設への入場防止
・従業員の検温・体調確認を行い、37.5度以上や体調不良の従業員の出勤を停止
・来訪者の検温・体調確認を行い、37.5度以上や体調不良の来訪者の入場を制限
3つの「密」(密閉・密集・密接)の防止
・店舗利用者の制限、行列を作らないための工夫や列間隔の確保
・換気を行う(可能であれば2つの方向の窓を同時に開ける)
・密集する会議の中止(対面による会議を避け、電話会議やビデオ会議を利用)
飛沫感染、接触感染の防止
・従業員のマスク着用、手指の消毒、咳エチケット、手洗いの励行
・来訪者の入店時等における手指の消毒、咳エチケット、手洗いの励行
・店舗・事務所内の定期的な消毒
移動時における感染の防止
・ラッシュ対策(時差出勤、自家用車・自転車・徒歩等による出勤の推進)
・従業員の出勤数の制限(テレワーク等による在宅勤務の実施等)
・出張の中止(電話会議やビデオ会議などを活用)、来訪者数の制限
 
これが東京都の出した緊急事態措置の社会福祉施設に関わる部分の全てです。
 強引に援用すれば、3密防止要請が施設閉所の根拠になるかもしれませんが、私の見解で言えばこのような要請をこじつけてまで施設を閉所して利用者と築いてきた営みを断つ必要は見当たりません。果たしてこれを大義名分として施設を閉所した所は、本当にこの要請をどうにかして厳守したくて施設を閉めたのでしょうか?
 それについての本当のところは分かりません。これを読んで応えてくれたらありがたいことですが期待薄でしょう。
 この文章の冒頭に書いたように、都の緊急事態措置も国の緊急事態宣言もすべて要請でありそれにどう応えるかは各々の自由意志です。そしてその要請のどこにも福祉施設を閉所するべしとは書かれていません。のみならず、厚労省の通達(この間いくつも通知を出しており、いずれもHPで閲覧出来る)でも、感染拡大防止対策を取りつつ逆に利用者への支援が途切れぬよう、施設を極力開所することが求められています。私は何でも国の要請や通達に唯々諾々と従うことには反対する者ですが、その要請や通達の内容を曲げてまで利用して、自分たちの施設のやるやらないの根拠にすることにはさらに猛反対です。誤解無きように申しておきますが、私は何が何でも開所するべきと言いたいのではありません。自分たちの現場の実情を良く吟味検討掘り下げて判断し、決定したら自分たちの言葉でそのことを説明するべきだと思うのです。職員が自分の家族に感染するのがどうにも恐ろしく不安で、それを避けたくて閉所するのならそう言えば良いのです。そのことを誠心誠意利用者に伝えれば良い。緊急事態措置や宣言を拡大解釈して閉所するのは、その中身を普通に解釈して開所している所にとっては甚だ迷惑な話です。

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